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留学ドキュメンタリー

第13期生――日本での経験を糧に、26人元気に巣立つ


  泣いた、笑った、頑張った――。今年も日本各地での約1年間の留学を終えた中国の高校生たちが、元気よく巣立っていった。日中交流センター主催の「心連心:中国高校生長期招へい事業」、その第13期生の帰国前報告会と歓送レセプションが2019年7月18日、東京都内で開かれた。若さと活気にあふれる会場で、留学の成果や思い出について聞いた。


弁論大会と先進教育と趣味と……



全国の弁論大会で「日本人の礼儀」についてスピーチし、見事入賞した梁煜程君

  三重高等学校に留学した梁煜程(りょう・いくてい)君は、外国人による日本語弁論大会(全国大会)で見事、第三位にあたる主催団体賞を受賞した。

  「バスケ部に入って毎回、練習の始めと終わりにコートに礼をしました。不思議に思ったけど、みんなは『体育館の床の中にバスケの神様がいるから』と。それで日本人特有の礼儀とは、自然との共生関係から生まれたのではないかと考え、発表することができました」

  “実力主義”の部活ではベンチ入りもかなわず辛い思いもしたが、別れの時には部員みんなのサイン入りボールがサプライズで贈られた。「うれしかった!宝物になります」

  南京に帰っても、文武徳育を重んじる三重高の校訓「真剣味」を忘れず頑張りたいと白い歯を見せた。


胡澤兵君は大分での先進的なICT教育に驚いた

  大分県の岩田高等学校での先進的なICT(情報通信技術)教育に驚いた、というのは胡澤兵(こ・たくへい)君。「心連心」高校生招へい事業で初めて貴州省からやってきた、トン族の青年だ。目を輝かせていう。

  「生徒は1人1台iPadを持ち、授業を受けます。学校でも寮でもWi-Fiが完備されていて、自主的、効率的に学習できます。故郷にはまだないものなので、帰ったら学校の先生に話したい」

  一方で、今や珍しくなったフィルムカメラで学校周辺の風景を撮影したり、ポストや手紙に愛着を感じ、写真を現像して友達に郵便で送ってあげたり。そんなレトロな趣味にものめり込んだ。21世紀生まれの「スマホ世代」ではあるが、かえって人の心の温かさに気付いたのかもしれない。太宰治の『人間失格』、夏目漱石の『こころ』が愛読書だという胡君。思索を深めたこの留学は、大きな成長の糧となったようだ。


人生で初めての入院もしたが……



初めての入院も体験したが、盛岡での日々が忘れられないという夏晗君

  若いパワーが炸裂したのか? 盛岡中央高等学校の夏晗(か・かん)君は、正月休みにホームステイ先で中華料理をふるまおうとしたところ、誤って煮えたぎる油を足にこぼし、大きなやけどを負ってしまった。

  「人生で初めて入院し、全身麻酔の大手術を受けました。あれは1年で一番、暗くなった時期でした」。それでもクラスメートらの励ましを受けて2週間で無事退院。今ではすっかり回復し、元気に歩けるようになった。

  苦難にも見舞われたが、盛岡での日々は忘れられない。初めて見た雪景色、おいしいじゃじゃ麺、心優しい地元の人々、最優秀賞に選ばれた県の弁論大会、みんなで声を一つにした合唱部での活動……。「この1年で学んだ教科書に載っていないものは、これからの人生に必ず役立つ」。報告会でそう謝辞を述べた夏君は、晴れやかな笑顔を見せた。


活躍の場やつながり広がる卒業生



鄭天祺さんは鹿児島のホストファミリー、松木場さんと、ファミリー先輩の7期生の王丹妮さん(左)とともに

  心連心プログラムを今年卒業した13期生は26人。9月には次の14期生26人が、日本での新しい高校生活をスタートさせる。

  日中交流センターの堀俊雄所長は挨拶で、このプログラムで受け入れた中国人高校生は13期生までで累計416人おり、すでに中国に帰国した390人のうち約半数にあたる185人が進学や就職のため再び日本に滞在していることを明らかにした(同日時点)。

  「これは当初の予想をはるかに上回るいい結果だ。卒業生の活躍の場やつながりが有機的に広がっていて、センターとしても大きな手応えを感じている」

  堀所長はこれまでの成果を報告した上で、受け入れ校やホストファミリーら関係者の厚い支援に謝意を表した。

  来賓挨拶に立った駐日中国大使館の安載鶴(あん・さいかく)一等書記官は、13期生の無事の留学修了を祝うとともに「これをきっかけに、将来は懸け橋となって中日友好のために力を発揮してほしい」と強調。熱心に耳を傾ける若い彼らに期待を寄せた。


「中国人と日本人の区別なく」



梁煜程君が1年間お世話になった細石ファミリーは「一人息子に兄弟ができたみたいで」と喜ぶ。右はファミリー先輩の10期生の李顔秀さん

  今年も高校生たちを陰になり日向になり支えてくれたのが、全国各地の受け入れ校やホストファミリーの方々だ。

  にぎやかなレセプション会場で鹿児島のホストファミリー、松木場さんと一緒にいたのは鄭天祺(てい・てんき)さん。県立武岡台高等学校に通う1年間を、松木場さん宅でお世話になった。「最初は慣れなかったけど、辛いことも楽しいことも何でも話せるのが家族。それがわかってからは毎日よく話したし、日本のお父さん、お母さんからいいアドバイスを受けました」

  隣で目を細めていた松木場さんは長年、心連心の高校生を受け入れている“ベテラン”だ。「うちでは中国人だから日本人だからという区別はありません。人の感情とか、基本的な考え方は一緒だと思っているから」。実の娘はもう嫁いだという松木場さん。今は毎年、新しい家族の一員を中国から迎えている。


埼玉県立蕨高等学校に留学した邱一鳴さん(前列左から4番目)はホストファミリーや同級生たちと涙と笑顔で別れを惜しんだ

  受け入れ校の一つ、東京学芸大学附属国際中等教育学校では、心連心の高校生を受け入れ始めて約10年。秋森久美子先生はそのメリットについて「優秀な生徒が多く、積極的にアピールするし、チャレンジ精神も旺盛。学校の生徒たちもいい刺激を受けています」という。海外からの帰国生が多く、国際理解を重視する同校では、心連心プログラムへの期待も大きい。「基本的に、これからも当然のこととして留学生を受け入れたい」と先生は前向きに語る。

  レセプションの最後に、生徒たちは中島みゆきの「糸」を見事に合唱し、感謝の気持ちを表した。この1年、織りなされた経験は、13期生のこれからを鮮やかに彩るに違いない――。元気な歌声を聞きながら、そう確信した出席者も多かったことだろう。

  (取材/文/写真: 小林さゆり 取材日:2019年7月18日)

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