心連心ウェブサイトは日本と中国の若者が未来を共に創る架け橋となります。

  • 日本語
  • 中文

―日本と中国の若者が未来を共に創る―

  • HOME
  • 日中交流センターとは?
  • 高校生招へい事業
  • ふれあいの場事業
  • ネットワーク強化事業

心連心トップページ > 高校生招へい事業 > 留学生のその後を知る > 卒業生インタビュー

卒業生インタビュー

インタビュー 心連心プログラム修了生の「日中交流の担い手」として成長した様子を取材します。

春を迎えた。学年が上がり、新たな気持ちで勉学に励む卒業生3人を訪ねた。

出会った人たちの期待に応えたい


写真を拡大左から奥野祥太郎さん、韓さん、福岡優介さん、優介さんの妹の愛音さん、祥太郎さんの妹の真子さん。「ドンちゃんに会って、中国に対するイメージが大きく変わった」と愛音さん。

  「心連心プログラムを通して感じた日本の魅力と、一年間で出会った方々の期待を受けて、日本に留学すると決めました」

  そう話すのは、10期生の韓東学さん。東京大学教養学部理科1類の2年生。中国でも有数の進学校、東北育才学校在学中に清風南海高校(大阪府)に留学した。留学中、韓さんは4つのホストファミリーにお世話になった。そのひとつが、同校で同級生だった福岡優介さん家族だ。

  3月末、韓さんは大阪の福岡さん宅に“里帰り”していた。帰ったのは、2度目。前回は、大学合格を報告した1年前だ。
  この日、韓さんのそばにいたのは優介さん家族だけでなく、同じく同級生だった奥野祥太郎さんと妹さんの姿もあった。聞けば前日夜には、奥野さんの両親も参加してホームパーティを開いたという。

  「ドンちゃん(韓さんの愛称)は誰よりも気が配れる人です。高校でも人望が厚かった」と優介さんが言えば、祥太郎さんも「うちの父は、ドンちゃんのファンクラブ会長を自称しています(笑)。父はドンちゃんとよくメールのやりとりもしていました」と続ける。

  「ドンちゃんが来る前は、日中の文化の違いなども勉強しましたし、コミュニケーションがうまくとれるだろうかと緊張もしました。ところがホームステイが始まってみると、預かったというよりは預からせてもらったという感じでして、ドンちゃんからたくさん学ばせてもらいました」と、優介さんの母の純子さんもふりかえる。

写真を拡大1年ぶりのホームパーティで、日本語で書かれた哲学の本の話を始めた韓さんに、「さすがドンちゃん」とみなが口をそろえた。

  在宅中はドンちゃんが部屋にこもらないよう、お茶を飲もう、テレビを見ようと声をかけ、一緒に過ごすようにした。食べ物の話から中国の暮らし、社会のことなど多くのことを話したという。韓さんの日本語の語彙も比例するように増えていった。

  「ひとつの大きな家族のようにいろんなことを語り合えます。家族のぬくもりを感じています」(韓さん)

  次年度からは工学部物理工学科に進むことが決まっている。講義はもちろんのこと、さまざまな活動やイベントに参加することで視野を広げたいと考えている。春休み中は、柏キャンパスにある物性研究所で物性物理研究を体験させてもらった。

  サークル活動は2つ。科学の面白さや社会の中での役割などを、科学者だけでなく多くの人との間で伝えあうイベントなどを実施する「CAST」と、ハーバード大学に本部を置く学生主体のプログラム「HCAP」東京大学運営委員会に所属する。

実験三昧の日々に


写真を拡大実験が増えることで他の学生とも交流が増え、研究分野の話もたくさんできるようになるのではないかと期待する。

  3日後、京都大学のキャンパスへ。9期生の王歩雲さんは、韓さんと同じ東北育才学校の出身。埼玉県立和光国際高等学校へ留学した。

  「バスに乗った後、電車に3回乗車して、それから歩いて学校へ。片道1時間半かかったので、最初は疲れましたが、だんだん慣れていきました。電車の中には広告があるので、知らない日本語があると毎日、辞書で調べていました。英語の勉強もできました。帰りの埼京線から時々富士山が見えたんですよ」と懐かしそうに言う。

  2017年に京都大学に進学。現在、工学部物理工学科機械システム学コースに在籍する。

  「この春から三回生です。三回生では実験や専門科目が増え、かなり忙しい一年だそうです。アルバイトの時間を減らして、学業に専念するつもりです」

写真を拡大2年続けてきた空手。今は青帯になった。

  同じコースに同級生は100人いるが、女子学生は王さんをのぞいて1人だけ。日本の大学では、理系に進む女子が少ないことには驚いたという。女子同士で助け合いながら、勉強をしている。

  アルバイトは1年生の頃から、日本での大学進学を目指す中国人に日本語を教える塾のアルバイトを続けてきた。

  「授業は大変でしたが、私は内気な一面があるので、良い訓練になりました。アルバイトで稼いだお金と奨学金でかなり親の負担を減らせるので、自分としてはやりがいが大きかったです」

  サークルは、空手同好会に所属する。1年生の頃はストリートダンスサークルでも活動していたが、空手1本にしぼった。
  「まだ全然強くないですが、続けていきたいと思っています。ストレス発散にもなっています」
  サークルには、フィンランドやカナダ、ドイツ、フランスなど、短期の留学生も入れ替わり立ち替わり入ってくる。国際交流の機会にもなっているそうだ。

  昨年夏は合宿免許に参加して、運転免許を取得した。ハンドルを握って日本各地を旅するのが楽しみだ。

憧れの情報工学分野へ


  もう1人、京大生に会うことができた。上海出身の8期生、束親欣さんだ。理工学部情報学科の2年生。神村学園高等部(鹿児島県)に留学中から日本の大学への進学を考え始めた。中国に帰国後、ある程度予測のつく中国の大学への進学よりも、自分で道を探しながら進む日本での進学を決めた。日本が情報工学分野に強いことも理由のひとつだという。

写真を拡大いろんな経験がしたいと、3月からゲストハウスのアルバイトを始めた。

  「大学に入ってから、数学や物理などの講義内容は一気に難しくなり、なかなか理解できないところもありました。このままにしてはいけないと思い、放課後にクラスの友達と一緒に勉強会をやり始めました。また、先生が講義で話した内容にこだわらず、ネットで関係する勉強ソースを探したことで、だんだんと自分のペースで勉強できる方法を身につけていきました」

  学業以外では、アプリやウェブサイトを作るサークルに入った。アルバイトは塾講師のほか、短期で学校の研究室でのデータ入力など。今年3月からはゲストハウスのバイトも始めた。英語を使う機会が増えたという。

写真を拡大全国高校駅伝大会では、高校留学時代の同級生と神村学園を応援した。

  昨年末、束さんにはとりわけ心はずむ時間があった。毎年12月、京都で開催される全国高校駅伝の女子の部で、留学先の神村学園が初優勝したのだ。京都に進学した日本人クラスメイトたちと応援に駆けつけた。当時の担任とも再会することができたと顔をほころばせる。

目標に向かって


  3人に目標を聞いてみた。

  王さんは、大学院への進学を目指している。「まだまだ自分の専門に対しての理解が足りないと感じています。将来の進路にも少し迷いがあります。いろんな研究分野があるので、学業にしっかり取り組んで、自分が興味を持って進んでいける研究分野を探したいです」

  束さんは、「近い目標では、IoT(モノのインターネット)と機械学習に関する研究ができるよう、自分の専門分野に関する知識をしっかりと身につけること。それと今作っているアプリを完成させることです。遠い目標としては、自由な人間になりたいと思っています。京大は自由な気風だと言いますが、自由とは何かを考え続けています。就きたい職業は変わるかも知れませんが、自由になれるようどんどん知識と経験を積み重ねていきたい」と話す。

  韓さんの夢は、「物理を学んで、人々に幸せをもたらす技術の開発に携わること」。さらに、幅広い分野の知見を得て、さまざまな場で活躍できる「ジェネラリスト」を目指したいと口にした。

  心連心でできたつながりは、3人の大学生活を支えている。

  「私が今所属している工学部情報学科にも心連心の先輩がいました。今年3月に卒業しましたが、先輩からはバイトや勉強の面において、いろいろとアドバイスをしてもらいました」と束さん。王さんや韓さんからも同様の話を聞いた。

  3人ともSNSを活用しながら心連心の卒業生とつながり、たまに会っては旧交をあたためている。同期とは互いに励まし合い、優秀な先輩は手本となる。そして後輩の頑張りに刺激を受けながら、大学生活を送っていた。

  【取材を終えて】
  日本人のクラスメイトや教諭、ホストファミリーもまた、心連心で育まれたつながりだ。ともに過ごした時間と思い出は、大学生活を送るうえでの大切な基盤になっていると感じた。
(取材・文:須藤みか 取材日:2019年3月25日、28日)

ページTOPへ