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卒業生インタビュー

インタビュー 心連心プログラム修了生の「日中交流の担い手」として成長した様子を取材します。

Vol.026 王 戴蒙さん

写真を拡大王戴蒙さんとは浅草のシンボル、雷門の前で待ち合わせた

名前
王 戴蒙おう たいもう さん

プロフィール
  1992年北京市生まれ。北京市月壇中学に在学中、「中国高校生長期招へい事業」により大阪府立大手前高校に約1年間留学。帰国して高校卒業後の2011年10月に再来日して東京・浅草の日本語学校で学び、2012年4月、横浜国立大学経営学部に入学。大好きだという浅草に住み続けながら、学業に、アルバイトに、ボランティアにと充実した日々を送っている。

浅草はふるさと北京に似ている


写真を拡大雷門の前で、王戴蒙さん

  王戴蒙さんとの待ち合わせは、東京・浅草のシンボル、大きな提灯の下がる浅草寺(せんそうじ)雷門の前。時間ぴったりに、ストレートのロングヘアを秋風になびかせながら、王さんはやってきた。国際交流基金の「中国高校生長期招へい事業」3期生で、現在、横浜国立大学経営学部3年生。ピンクのワンピースがよくお似合いの清々しいお嬢さんだ。

写真を拡大観光客でにぎわう、浅草寺参道の商店街「仲見世」で

  江戸の下町情緒を今に伝える浅草は、王さんが大好きな街だという。日本の大学受験の準備のために浅草の日本語学校に留学した2011年から3年余り、ずっとここに住み続けている。

  「地元の人たちの親しみやすいところが好き。親身になって受験を応援してくれた日本語学校の先生、いつも『学校はどう?』と声をかけてくれるラーメン屋『コント』の店員のおじさん……。ふるさとの北京の温かさと、雰囲気がよく似ているんです」

  隅田川の対岸にある東京の新名所・東京スカイツリーの辺りまで自転車で出かけたり、江戸の面影を残す伝法院通りをぶらぶら歩いたり……。なじみの店も「コント」をはじめ、創業140余年の天ぷら・そばの「尾張屋」、老舗の釜めし店「釜めし春」、お好み焼きの人気店「新ちゃん」などあちこちに増えた。今では並の日本人よりも浅草通だ。

  住まいから横浜の大学まで、電車とバスを乗り継いで片道約1時間半。大変な道のりで、「(必修科目のあった)1、2年時には毎日往復しましたが、それでも浅草に住みたかった。通学も苦ではありません」と笑みを浮かべる。

今につながる日本との出逢い


  王さんと日本語との出逢いは「偶然だった」というが、やはり縁があったのだろう。

  中学受験を前にしたころ、たまたま目にした北京の新聞に、日本語教育の有名校「北京市月壇中学」(日本の中学・高校にあたる)の広告があった。

  「外国語が本格的に学べていいな」と強く引かれたほか、ともに北京の外国語大学を卒業した両親の支持もあって同校に進学。第1外国語として日本語を履修したのが始まりだった。

  高校1年時には、同校では初の参加者として「中国高校生長期招へい事業」のメンバーに選ばれ、2008年9月~09年7月、受け入れ校の1つである大阪府立大手前高校に留学。ここでも今につながる出逢いがあった。

  来日当初、大阪弁で進められる授業が全くわからず、初めて受けた「古典」の小テストで0点を取ってしまった。とまどっていた王さんに、クラスメートの女子生徒が「これ、読んでみたら」と貸してくれたのが大阪弁で描かれた人気少女漫画『ラブ★コン』全十数巻。差し伸べてくれた温かな手が、ありがたかった。

  それをキッカケに仲良しのグループもできて、大阪弁が次第に使いこなせるように。家族同然となったホームステイ先にも恵まれ、学校でも生活でも有意義な日々が過ごせたようだ。

  「今でもうれしいのは、大手前高校の仲良したち(約10人)と連絡を取り合っていること。しかも大学に入ってから中国語を勉強している人がほとんどです。夏休みに帰国した時には、北京の大学に留学中の1人と再会し、中国語がペラペラになっていたので驚きました」

  互いの国の言葉や文化を学びあい、今でもいい刺激相手だ。日本語との偶然の出逢いから、必然のつながりが深まっている。

ユニークな実践的授業で自由に学ぶ


写真を拡大横浜国立大学のキャンパスで

  先にも触れた通り、王さんは現在、横浜国立大学(神奈川県横浜市)の3年生だ。同大学を選んだのは、「経営」について学べる関東圏の国立大学だったから。幕末に開港された貿易港を抱く街の大学らしく、開かれた自由な校風や国際交流の盛んなところが気に入っている。

  カリキュラムもユニークで、ベンチャー企業でインタビューしたり、ビジネスプランを立てたりと、中国の学校では少数派の“実践的”な授業がある。その一環でもある学生主体の「学生発案型授業」では今年前期、社会人になる基礎能力を築こうと、横浜に本社のある「相鉄(相模鉄道株式会社)」の悩みを解決する、という産学連携型の学習テーマが設けられた。

  「相鉄をこれからどう発展させるか、学生ならではのアイデアを出してもらいたいと、プレゼンテーションの時には相鉄幹部らが審査員として出席したり、地元ケーブルテレビが取材に来たりと注目されました。

  私の意見は、『相鉄線』の知名度を上げて利用客を増やすために、東京スカイツリーのようなランドマークを地元に作ってはどうか? アウトレットセンターやシネコンなどを集めた大型商業施設を建設しては? というもの。そうすれば大勢の人たちに来てもらえると訴えました。(2012年に電波塔・観光施設として開業した)スカイツリー効果で、浅草がにぎわいを増したことを実感しているからです(笑)」

写真を拡大横浜国立大学経営学部の新入留学生歓迎会でイエメン人と司会を担当した(2013年10月)

  10月からの後期では、これからの「学生発案型授業」はどんなテーマにするか、学習をどう進めるか、定員は何人にするか……などを企画するスタッフの1人として授業に参加したいと、張り切っている。

バイトやボランティアも貴重な経験に


  アルバイトやボランティアにも積極的にかかわっている。

  今年4月に社会奉仕団体の1つ、川崎ロータリークラブ(神奈川県川崎市)の奨学生として支援を受ける前までは、コンビニ店員から古本販売チェーン店「BOOKOFF」(ブックオフ)のスタッフ、携帯電話販売のキャンペーンスタッフ、展示会通訳、塾講師まで、アルバイトは何でもやった。

  1年半と長く続けたブックオフでは、古本や中古CD・DVDの販売のみならず、買い取り価格の査定、旧商品の修復方法、商品の見せ方、並べ方といった販売・買い取りノウハウを総合的に学んだという。

  「売れ筋の作家は、中国でも人気の東野圭吾。漫画の『SLAM DUNK』(スラムダンク)は新品同様の全巻がそろっていれば高く査定できましたし、人気漫画『ONE PIECE』(ワンピース)は在庫がいっぱいになると、かえって値段が下がりました。私も本が好きですし、ここで日本の有名作家や人気アイテム、ビジネスについてリアルに学べたのは良かった」

  ボランティアはこの夏、横浜地域のロータリークラブの活動に参加したことが忘れられない。留学生や市民ら約200人で、市内の公園のタバコの吸い殻拾いをしたところ、なんと数時間で8㌔グラムもの吸い殻が集まった。

  「清潔なイメージのある日本で、意外な結果でした。でも地域の環境改善に役立つし、新しい友達もできる。何といっても気持ちがいいし、達成感があります。ロータリークラブの活動にはこれからもっと頻繁に、週1回は参加したい」

経験生かし日本で会社を起こすのが夢


  大学での勉強やアルバイト、ボランティアと多方面で活躍し、さまざまな角度から日本理解を深めている王さん。

  中国の同世代の真面目な学生に比べれば「私はまだまだ勉強が足りない」と謙遜するが、日本に留学して良かったのは「自分の勉強したいテーマが自由に学べること。学生であってもいろいろな社会経験ができること」。

  それは、王さんにとってかけがえのない蓄積であり、財産となっている。

写真を拡大笑顔がさわやかな王戴蒙さん

  将来は、こうした経験を生かして日本で会社を起こすのが夢。中国で人気だという安全な食品や化粧品などの日本製品を扱うような国際貿易も、視野に入れている。そして成功した暁には「両親を浅草に呼んで、一緒に住みたい!」。

  王さんの名前の戴蒙(ダイモン)は、「光り輝く人に」とダイヤモンドの発音を取って、母親がつけてくれたのだという。その名の通り、王さんは今、異郷にあって光り輝く青春を送っている。

  【日本語を学ぶ後輩たちへメッセージ】
  「小さいころから両親に『外国語を学ぶなら留学しないとダメ』といわれて育ちました。日本に関心があれば、教科書で学んだり、人から聞いたりするだけでなく、実際にその中に飛び込んで体験してみることが大事。勇気を出して日本人に話しかけたり、聞いたりすることで、日本理解が一層深まることでしょう」
(取材・文 小林さゆり 取材日:2014年9月21日)

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