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卒業生インタビュー

インタビュー 心連心プログラム修了生の「日中交流の担い手」として成長した様子を取材します。

Vol.020 礼 済聞さん

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名前
礼 済聞れい さいぶん さん

プロフィール
  中国遼寧省瀋陽市に1992年に生まれる。心連心プログラム第三期生として2008年8月に来日。栃木県立宇都宮北高等学校に1年間留学生として在籍する。現在は大阪大学経済学部2回生。昨年末には郵便局でアルバイトをし、その効率的なシステムに驚いたとか。

国際交流に尽力


  現在の礼さんが最も力を入れて取り組んでいるのは、日中にとどまらない「国際交流」だ。学生協留学生委員会には1回生から参加し、さらに様々な国籍を持つ留学生が所属する別のサークルでも活動している。このサークルでは10周年を記念して、各国の民族舞踊や歌を通して交流するコンサートを昨年の12月に開催した。礼さんを始め様々な国籍から成る運営メンバーは、朝早くに集合してチラシや募金箱など準備を行い、最後にはこのサークルのメンバーで歌を披露したそうだ。

写真を拡大受付を担当したモンゴル、ロシアの留学生と

  また同じく12月には国際交流基金の支援を得て、日中双方の学生50名ほどを集めて日中交流イベントを企画した。

  「初めての企画だったので、講演を聞いたりするよりも双方の学生が交流できるようなものがいいだろうと思って、日中の学生混合のグループ対抗ゲームを行いました。実行委員は関西の様々な大学から10名くらい集まり、私は当日運営に関わりつつ、受付も担当しました」

写真を拡大日中交流イベントの運営メンバーたちと一緒に

  日中の学生で編成された実行委員で準備を進め、なかでもリーダーを務めた日本人学生による、FacebookやGoogle、skypeなど、SNSを駆使したイベント開催の手法が大いに参考になったそう。イベント当日は準備の甲斐あって大いに盛り上がり、自身も成功の手応えを感じた。参加者からも「ゲームを楽しみつつ、関西で活動する様々な活動団体について知る事ができ、友人もたくさん出来た。次回もまた参加したい」との感想が多く聞かれたそうだ。

  日本に留学して以来国際交流に努めてきた礼さんは、時には他の学生達から珍しがられることもあるという。

  「一般的に中国の学生は真面目で勉強熱心だというイメージをもたれていますし、確かにそれ以外の活動に参加することは少ないんです。なので私が参加していると、『中国人なのに珍しいね』と言われることもあります」

  どちらかといえば昔は物静かな子どもだったと振り返る礼さん。そんな礼さんが「国際交流」という自分のやりたいことを見つけ積極的に行動するようになったのは、やはり高校での日本への留学がきっかけだ。

自分の価値観を持つように


写真を拡大高校時代、剣道部にて

  高校での留学時代の礼さんの日記を読むと、少し肩に力が入りすぎている感はあるが、自分を奮い立たせてこの留学を充実したものにしようとする意気込みがうかがえる。

  「放課後は、あちこちの部活動に顔を出して体験しました。茶道部をのぞいたり、剣道部に半年入ったり、弓道部の試合に参加させてもらったり」

  またIECと呼ばれる留学生との交流や海外文化について学ぶ活動が目的の部活も体験した。ここで今でも鮮明に記憶に残る、ある出来事が起こる。

  「当時北高校には、台湾からの留学生がいたんです。母国語が同じなので、彼女とはとても仲良しでした。ある日自国について説明する時に、私が台湾を中国として紹介したんです。そうすると彼女がとても怒ってしまって・・」

  中国から見た歴史と台湾から見た歴史が違うことにはうっすら気付いていた。しかし自分の考えを皆にも知ってほしい。多くの中国人はこう考えているということをちゃんと伝えたくて、彼女なりに考えてとった行動だった。

  「それまでは自分の考えを伝えることだけに固執していたのかもしれません。他人の立場であまり考えていなかったのかも。私たちとは別の考えや世界がある、それが分かりました。あなたはあなた、私は私。それでいいんだって」

  結局その友人とは仲直りし、政治の話はしないことに決めた。この出来事が今、相手の立場を考えつつ、自分なりの考えを持つようになることへとつながっているそうだ。

ハルビンを訪問して


  「今大学の友人でも、興味があってこういう話題に触れてきた時には、私の出来る範囲で答えようと努力しています。日中間にも同じ様な問題がありますからね。でも正直日本の学生は、世界や歴史の問題に興味を持っている人が少ないように感じます」

  日本の学生の昨今の内向き志向は、メディアなどでもよく取り上げられる話題だ。国際交流のサークル内でも、なかなかそういう話ができる雰囲気にならないと残念そうに話す。

  昨年の夏には、心連心ふれあいの場サマープログラムに参加して黒龍江省のハルビンにある「東北烈士記念館」を日中の大学生で訪問した。そこで礼さんは通訳係を務めたが、どう訳するか本当に苦心したそうだ。

写真を拡大ハルビンでは、グループに分かれオリエンテーションを行った

  「日中双方の学生がいる中で、どう通訳したらよいのか、自分の考えや気持ちをどう伝えたらいいのか悩みました。でもこの見学の後、『戦争は起こすべきじゃない』とか『日本にいたら知ることができないことだった。行ってよかった』という感想が聞かれたので、やってよかったなって思いました」

  実際に戦争を体験したわけではないからこそ、歴史を学ぶことで戦争を避ける方法を考えたい。主流のメディアからの情報だけでなく、事実を知った上で、判断は各自でするのがいいと思う。真実というものは存在しない、今では礼さんはそう考えている。

  そして春からは3回生。そろそろ就職を考え始めなければならない時期だ。

  「やっぱり国際交流や文化交流に関係できる職業に就きたいなと考えています。新しいものに接したり出会うのが好きだし、コンサルティングがいいかな、と。日本なら、何でも出来る。国際交流でもボランティアでも地域活動でもやりたいことが出来ると思っています」

  国際交流とは、自分とは異なる価値観を受け止めることだ。その事に苦しむ事もあっただろう。しかしあえて多様な価値観の中に身を置き続け、時には衝突することも恐れない礼さんのような勇気が、真の交流のために一番必要なものなのかもしれない。

  『取材を終えて』  礼さんは大好きなアニメ、「名探偵コナン」から“福引”や“抽選”など日本の風習を知り、大阪や京都、沖縄を旅するコナンのおかげで日本の地方にも興味がわいたらしい。アニメが外国の若者を日本に惹きつける役割は、予想以上に大きいのかもしれないと改めて思わされた。(取材:真崎直子)

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