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イベントレポート

「日本におけるランク付けの意識とその表し方」講座

2018年度

2018年3月21日(水)

 3月21日午後、日本の愛知教育大学日本語教育講座教授・同大学院日本語教学領域主審教授の時衛国教授が、我が校の第606回社科大講壇に出席され、長清湖キャンパスのB区242教室で「日本におけるランク付けの意識とその表し方」をテーマとして学術講座をしてくださいました。外国語学院日本語学科主任の李光貞教授が講座の司会を担当されました。我が校日本語学科の教師、院生及び学部生が今回の講座に参加しました。これは、時教授が我が校でしてくださった2回目の講座です。

 講座が始まると、時教授はまず日本語のさまざまな人称代名詞を例にして、日本はランク付けの意識が強い社会であることを指摘されました。例えば、第一人称の「私」の代名詞は年齢、性別、地位などによって、「わたし」、「わたくし」、「あたし」、「おれ」、「ぼく」、「わし」など多様な用法があり、一つ一つの人称代名詞もそれぞれ特定のランクを反映しています。時教授は日本人のランク付けの意識を反映する待遇表現を「プラス配慮」と「マイナス配慮」に分けられています。それは生活及び仕事のあちこちにもあり、人間関係を和ませる潤滑油です。時教授の順を追った興味深い説明から、みなさんは敬語の定義及び重要性がわかるようになりました。 

 続いて、時教授は敬語の選択、三つの種類の敬語にあるつながりと区別、敬語の形式という三つの方面から日本語の敬語システムについて詳しく説明されました。敬語の選択で時教授は、性別の差、年齢の差、位相の差、立場上の差、親疎の差という「差」によってふさわしい敬語を選ぶべきだと指摘されました。例えば、「父が申したことは重要だ」と「伊藤さんが申されたことは重要だ」は親疎の差が用語の違いをもたらすことを表しています。そのため、そういう「差」をよく把握してこそ、敬語を適切に使えます。敬語の分類の方面では、時教授はさまざまな実例を使って、相手を尊敬する意を表す言葉の尊敬語、へりくだって尊敬の意を示す言葉の謙譲語、言葉を丁寧に感じよくするための丁寧語という三種類の敬語における差異を分析されました。時教授が挙げられた例は典型的で代表性を持ち、直観的に表し方の違いが尊敬程度の微妙な差をもたらすことが反映されていました。例えば、「少しお待ちください」、「少々お待ちいただけませんか」、「少々お待ちいただけないでしょうか」の尊敬程度は、次第に高くなります;「承知いたしました」、「かしこまりました」、「承りました」の謙遜程度は、次第に高くなります;「甚だ恐縮です」、「甚だ恐縮であります」、「甚だ恐縮でございます」の丁寧程度も次第に高くなります。また、この三種類の敬語の間のつながりについては、時教授は丁寧語が尊敬語あるいは謙遜語と結びついて用いられるとおっしゃりました。日本人は細やかな心を持っているため、日本人と付き合う時には、具体的な場合によって、三種類の敬語を適切に結びつけて使う必要があると強調されました。例えば、「おります」、「参りました」は謙遜語と丁寧語の結合の例で、「いつ頃お帰りになったのですか」、「アメリカへいらっしゃったそうですね」は尊敬語と丁寧語の結合の例です。そのため、敬語は三つの種類しかなく、簡単なように見えますが、しかし実際の応用では非常に複雑です。

 敬語の形式の方面では、時教授は尊敬語と謙譲語に対して、尊敬度が高いが形式は単一的な交代形式と、尊敬度はやや低いが表現が豊かな添加形式という二つの形式があると指摘されました。そして、二つの形式の典型的用例を一つずつ挙げられ、対照を通してみなさんに詳しく説明してくださいました。例えば、「行く」の交代形式には尊敬語の「いらっしゃる」と謙遜語の「参る」があり、添加形式には「行かれる」があります。また、丁寧語の形式は主に敬体と接頭語に現れます。時教授は習慣、美化作用、含蓄、簡略化単語などの方面で接頭語の使用規律をまとめられました。時教授の説明は全面的で詳しく、在席の先生と学生から熱烈な拍手が寄せられました。

 最後に、時教授はみなさんに授受表現、推量表現という日本人が尊敬を表すほかの方式について補足してくださいました。そして、敬語の表し方が発達したため、日本語では人称代名詞の使用率が低くなり、学術界に「日本語無主語論」が出てきたほどであるという観点を指摘しました。また、時教授はみなさんにより深く敬語を理解させるため、敬語が速く発展した背景も紹介されました。戦前日本の天皇制の社会では、敬語の使用は貴族に限られていましたが、戦後日本が民主主義社会に入ってから、敬語が速く発展しはじめました。敬語の普及は一定程度、日本社会の変化を反映したものだと時教授は指摘されました。質疑応答では孫守峰副教授が、敬語の地域差異及び感嘆詞の尊敬度への影響という二つの面から自分の意見を述べ、時教授と素晴らしい学術討論を展開し、みなさんの敬語に対する思考を深化させました。

 敬語は日本語において重要な位置を占め、日本語学習の難題の一つです。時教授は、多数の典型的実例を列挙した基礎の上に、新しい視点から敬語に対して多面的な研究を行い、理論性・実用性・系統性・フォーカスを兼ね備え、みなさんに日本語の敬語の学習及び研究に対する新しい考え方を提供し、在席の先生と学生に大きな示唆を与えてくださいました。                                      

 時衛国教授は、山東大学日本語学科を卒業し、日本の東京都立大学で文学論文博士及び大東文化大学で言語文化学論文博士学位を取得されました。日本の愛知教育大学日本語教育講座教授、同大学院日本語教学領域主審教授で、学校教育研究評議員、教授代表議員、学生支援委員会委員を兼任しておられます。在日二十九年以来、専門書一冊、翻訳作品二十冊余り、教材一冊、電子書籍一冊が出版されました。

 広い研究領域(日本言語研究、文学研究、文化研究、中日対比言語研究、現代中国語副詞研究、文学翻訳実践及び翻訳研究など)と多数の著作によって、日本の学術界で好評を博しておられます。中国翻訳協会専門家会員、中国漢日対比語言研究協会理事、日本国日中対照言語学会常務理事、国際連合論学会常務理事、日本翻訳家協会会員、日本文芸家協会(「中国作家協会」に相当する)正会員、日本ペンクラブ(「中国文联」に相当する)E会員です。また、漢日対比語言学著作賞(カシオ学術賞)、公益信託田島毓堂語彙研究基金学術賞(田島毓堂賞)、日本翻訳家協会翻訳特別賞を受賞しておられます。

 同日午前、時衛国教授は我が校の客員教授に招聘されました。日本語学科の建設や発展に重要な力となってくださることでしょう。

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