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趙一青さんの日記

人生の一期一会

2018.05.09

皆さんは「一期一会」という言葉を聞いたことがありますか。それを聞いた時、どのように感じたでしょうか。

私の場合、「一期一会」という言葉は、本を読んでいて初めて出会いました。その本は日本文化を紹介するものでしたが、それには「一期一会」とは、茶道に由来することわざで、「客人との出会いの中で、その人に点(た)てるお茶はその時だけなので、一度きりの大切なものである」との説明がありました。この説明を読んだ時、私はその意味をよく理解できませんでした。

なぜなら、中国では、「過ぎ去った時間は二度と戻らない。時間を無駄にしないためにはきちんと計画を予め立てて、その通り進まなければいけない」という風に教えられ、その時、その瞬間を大切にするというより、長く続く時間を意識すべきとされてきました。時間に対してこういった考えをしていた私は、日本に留学して、日本人のクラスメートたちが部活で一生懸命になっている姿を見た時、驚いてしまいました。彼女たちがどうしてそんなに熱心に部活に取り組むのか、大学進学に役に立つわけでもなく、勉強時間を削ってまですることなのか、時間の無駄ではないかと思ってしまいました。

そこで、合唱部に入っている友達に聞いてみました。するとその子はこう答えました。「さぁ、どうだろう。疲れてやめようと思うこともあるけど、無駄だと思ったことはないよ。だって上手に歌えるようになった瞬間はすごく楽しかったから。」

私は友達の言っていることを分かりましたが、それを受け入れることができませんでした。その時だけの楽しみに意義を見出すことなど、やはり無駄だと思っていました。この時、私は「一期一会」という言葉とはまったく無縁の人間でした。けれども、そんな私の考え方は日本での留学生活で次第に変わっていきました。

日本に来た当初、私は留学生活を無駄にしないように、「日本文化に対する理解を深める」という目標を立てていました。学校の授業で茶道を習っていますが、その時間はその頃の私にとって、目標達成の一つの手段でした。茶道のお手前の流れを覚えて、茶席で優雅に振る舞えるよう、大変努力しました。ですが、茶道のお手前は複雑で細かい動きもあり、初心者には難しいことが多いので、習い始めの頃は戸惑い焦っていました。そんな時、私は「一期一会」と再び出会いました。

「お客さまとの出会いも、お茶との出会いも、『一期一会』だからこそ、心を込めて最高のおもてなしをしましょう」と、茶道の先生がおっしゃいました。とてもシンプルな一言ですが、私の頭の中にスッと入ってきました。茶碗の拭き方や茶巾の置き方にいつも悩んでいた私は、「お客様に美味しいお茶を飲んでもらおう」と思ったことは一度もありませんでした。先生の言葉を聞いて反省しました。「一期一会を忘れてしまっては、たとえお手前の流れを全部覚えられても、茶道を習得したとは言えないでしょう。

それから、お稽古するたびに、いつも相手のことを思いながらお茶を入れるようにしています。ミスをしても次回直せばいいと、それほど気にしなくなりました。お茶の稽古で、私が一番気を付けているのは今という瞬間です。そして一番大切なのは先生がおっしゃる「結構でございます」という言葉です。お茶はその瞬間に対する感謝を込めてそそぐべきだと思います。そんな風に思えた時、初めてこんな実感を持ちました。何も考えず、自然にみんなと一緒に過ごすことのできるこの瞬間が幸せだなあーと。

こう感じた時、私はやっとあの友達の気持ちを理解できました。確かに目標があれば時間をもっと有効的に使えますが、目標を立てなくてもただ目の前の瞬間を楽しむことは決して無駄ではないと思います。今を気づかず、ただ先のことばかり考え追いかけていたら、今というこの瞬間を見逃してしまうことになると思います。たとえそこに意義が見出せなくても、後で振り返って見れば、過ごした日々はきっと忘れられない思い出になるはずです。そしてそんないくつもの瞬間を積み重ねて、私が出来上がっていくのです。日本に来て、皆さんとの『一期一会』のおかげで、この言葉を理解できるようになりました。

そして私はこれからの人生の中で、一つ一つの戻らない瞬間を大切にして、生きていきたいと思います。

  

 

 

コメント

  • ふーちゃんさん

    趙さん、こんにちは、日中交流センターの後藤です。今回の日記の内容が本当に素晴らしいので、センターの先生達はみんな驚いているし、とても感動しましたよ!!(^0^)趙さんは、ただ単にお茶の体験をするだけでなく、その経験を通じて、日本についてより深く理解し、自分の糧にできていると思います。その姿を知ることができて、先生達は本当に嬉しいよ(T_T)/

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